この記事では井原市(いばらし)にある式内社の足次山神社についてまとめます。
足次山神社へ参拝

岡山県井原市井原町に鎮座する式内社である 足次山神社(あすはやまじんじゃ)へ訪問しました。

足次山神社(あすはやまじんじゃ)は延喜式神名帳に備中国後月郡(しつきぐん)に鎮座していた記録がある古社です。

住宅街の一角に立派な石の鳥居があります。

鳥居をくぐると狛犬、いや狛ライオンが。

堂々と神社を守護しています。

夕方5時の静かな境内

1000年前からこの地を見守って来た神様に拝殿で参拝しました。
御祭神
宗像三神
海にまつわる神が多く祀られていますね。

瀬戸内海から高梁(たかはし)川、小田川を遡ってやって来た一族がこの場所にやって来たのでしょうか、
足次山神社で祀られる阿須波神とは?
阿須波神(あすはの神)は大年神(おおとし神)と天知迦流美豆比売(あめちかるみずひめ)の間に生まれた神々(奥津日子神・奥津比売命・大山咋神・庭津日神・阿須波神・波比岐神・香山戸臣神・羽山戸神・庭高津日神・大土神)の1柱で、『古事記』に名前が登場するだけで正体不明の神です。
越前国(現在の福井県)の足羽郡(あすわぐん)に「足羽神社 」(『延喜式』神名帳)があり、郷名に足羽郷(『和名類聚抄』二十巻本)があります。足羽郷は 古くは阿須波という漢字だったそうです。
このことから、元は現在の福井県福井市足羽地域の神(足羽氏の氏神?)だったとわかります。
阿須波神(あすはのかみ)が大年神系譜に記載された経緯として、越前の渡来系氏族の働きかけによるものだとする説もあるようです。
大年神は素戔嗚と同一とされることもあり、出雲風味の香りがする神ですね。岡山県は素戔嗚 、大国主 、蛇信仰など出雲との繋がりが多いので、出雲を経由してこの地にやって来たのかもしれません。
近隣の西江原町には「足次神社」があります。御祭神は足名椎神、手名椎神で素戔嗚の八岐大蛇神話で登場する櫛稲田比売の両親です。こちらの神社でもかつては阿須波神(あすはのかみ)を祀っていたのでしょうか。
大歳神を祀る神社に関する記事
阿須波神はアッシュール神?
阿須波神はアッシュール神が日本にもたらされたとする興味深い説を見つけました。

紀元前23世紀(4,300年前)古代メソポタミアでは、サルゴン王が率いるアッカド帝国がメソポタミア統一しています。このアッカド帝国には、アッシャール神を祀る都市国家アッシュール(現在のイラク北部)があり、以後に成立するアッシリアの首都にもなりました。約4,200年前になると気候変動による農業生産の低下や他民族の侵略によりアッカド人はこの地を去ります。

アッシュル神
アッシュルを去ったアッカド人の末裔が長い年月をかけて日本へ渡来人としてやって来て、アッシュールで祀られていたアッシュール神を持ち込んだのではないかという説です。
アッシュルとアスハの発音が似ているだけでなく、福井には猿田彦を祭神とする神社が複数あり、高雄神社では「オッシッサマのお渡り」という行事あるそうです。
猿田彦の容姿は巨大に天狗のような高い鼻をしており、日本人離れした特徴を持つ神ですが、オッシッサマのお渡りでは、赤い顔をした天狗のような衣装の猿田彦が神社を渡り歩きます。アッカド人が日本列島にやって来たことを伝えているのでしょうか。
その足跡として猿田彦に関係する神社や祭り、「アスハ」の読み名が残ったとも考えられます。