古代史好きな28歳サラリーマンのブログ

古代史(特に縄文、弥生、古墳時代)が大好きなサラリーマンが全国を旅した発見を書き連ねます。

青森旅:「ねぶた祭り」でよく見る八戸の八太郎伝説

蕪島神社から八食センターに移動する途中に八太郎大橋、八太郎トンネルとあり気になって調べてみました。

八太郎(はったろう)とは

八太郎は青森県八戸市を流れる馬淵川河口の北側の地域です。かつては八太郎沼、北沼などの潟湖があり、浜砂鉄の採掘地でしたが、1940年から工業地帯整備事業、馬淵川河口改修事業が進展した結果、現在は工業地帯となっています。周辺には八戸港第二工業港があり、三菱製紙八戸工場、八戸精錬所、八戸臨海鉄道の県営鉄道工業専用線が敷設されています。

現在は埋め立てによって存在しませんが、かつて八太郎沼があったことが由来となっているようです。

 

八太郎の地名の起源

地名の起源には、馬淵川の存在が大きい。『下長の歴史』(著・田名部清一、三浦忠司)によると、八太郎は「端太郎(はしのたろう)」が由来だという。

 

「太郎」とは、大河である馬淵川のこと。馬淵川の最下流に位置した端の地区という意味だ。



 

八太郎沼には、十和田湖の「八ノ太郎の出生伝説」が残る。大蛇になった八ノ太郎は、十和田湖で南祖坊と戦い、敗れたとされる。その八ノ太郎は馬淵川だ、という説も同書で紹介されている。



川の河口に位置する八太郎地区は、洪水にしばしば見舞われてきた。氾濫を繰り返す大蛇を鎮めようと苦労した住民と、治水の歴史の深さも物語っている。

デーリー東北より

 

なるほど。馬淵川(太郎)の端(八)だから八太郎となったのですね。

十和田湖の出生伝説があるので、十和田湖が水源かと思いきや違うようで、岩手県の袖山から流れているようです。

 

三湖伝説と南祖坊

八太郎が戦った南祖坊という人物を存じ上げなかったので調べてみました。

青森、岩手、秋田では有名な伝説でねぶたにも登場するようです。

 

昔、秋田の鹿角に、 八之太郎(はちのたろう)という若者が住んでいた。 ある時、 奥入瀬(おいらせ)へ山仕事に出かけ、そこで捕らえた 岩魚(いわな) 三匹を食べたところ、どうしたことかのどが焼け付くように渇いてしまった。 谷川の水をいくら飲んでもおさまらず、気づいた時にはその身が 大蛇(だいじゃ)となってしまっていた。 それでは村に帰ることもできず、川の流れを 堰止(せきと)め湖をつくり、その主となって湖水に身を沈めたのであった。 その湖こそ、十和田湖である。

 

それから百年ほどたった頃、 南祖坊(なんそぼう)という僧が、 紀州熊野権現(きしゅうくまのごんげん) で 参籠(さんろう)中、その夢枕に老僧が現れ、「鉄のわらじをはき、山々、 峰々(みねみね) をめぐり、その 鼻緒(はなお)が切れたところを永住の地とせよ」と告げた。 霊夢に従い、諸国修行に出た南祖坊がやがて十和田湖畔まで来たところ、ふいに鼻緒が切れた。 この美しい湖を永住の地とすべく、行に没頭した南祖坊に、八之太郎が戦いを 挑んできた。

天地も割れんばかりの激闘が続いたが、勝敗が決しない。 そこで南祖坊は 法華経取り出し頭上になびかせると、経文の一字一字がすべて矢となり、八之太郎に突き刺さった。 かくして勝利をおさめた南祖坊は、十和田湖の主となり、逃れた八之太郎は、その後秋田に大湖をつくり棲みついた。 これが 八郎潟(はちろうがた)であるという。

活彩あおもり大祭典 出陣ねぶたより

なんと、八太郎は岩魚を食べたら蛇に変身してしまった元人間でした。青森県八戸市と遠く離れた秋田県で同じ伝承を元にした地名が残っているとは不思議です。

八太郎誕生伝説

八太郎の父は蛇だったという伝説も残っていました。

十日市に子だくさんの家があった。中でお藤という娘は村一番の美人と評判で、身分の貴賤を問わず、お藤を気にしない男はなかった。そのうち、ある日一人の美しい若者が来て熱心に口説くので、お藤はその若者の妻となり、子を宿した。  ところが夫は、時が来たので別れて去らねばならない、男の子が生まれるから八の太郎と名付けるように、というのだった。お藤がまわりの白い目にも耐えて来たのにあんまりだと泣いて縋ると、夫はもはやこれまでと正体を現した。夫の正体は八太郎沼のヌシの大蛇であった。そして、驚くお藤をあとに、大蛇は黒雲を呼んで飛び去った。  夫のいった通りに男の子が生まれたが、赤子は生まれたばかりなのに大きく、すでに歯も生え揃い、目が輝いた子だった。この子に、お藤は大蛇の言い置いた通り、八の太郎と名をつけた。(『大館村史』所収「十和田山由来記」抜萃)  『日本伝説大系1』(みずうみ書房)より要約

龍鱗より

 

八太郎から海岸沿いに南へ行くとJR八戸線大蛇駅があります。

東北地方では昔から蛇が神聖な生き物だったのかもしれません。出雲大社や長野県の縄文土器を彷彿など縄文信仰を彷彿とさせますね。

 

●蛇信仰といえば…