古代史好きな28歳サラリーマンのブログ

古代史(特に縄文、弥生、古墳時代)が大好きなサラリーマンが全国を旅した発見を書き連ねます。

歴史好きによる猿の惑星/キングダムの感想と考察

猿の惑星/キングダム』をみた感想です。

※ネタバレを含みますのでご注意ください。

猿の惑星』全シリーズを見ている自分にとっては大変満足度の高い作品でした。

 

そして、歴史が好きな人にとっては人類の歴史の縮図のように思えて楽しめる作品かと思います。

 

今までの猿の惑星の流れはこちら。

 

目次

※本作のネタバレを含みますのでご注意ください。

 

旧約聖書を意識したタイトルの伏線

前作の日本語版タイトルは「創世記」は旧約聖書から、「聖戦記」は宗教を守るための戦い(イスラム教のジハードや十字軍)に由来しているように"宗教"が一つのテーマとなっていました。

「聖戦記」でシーザーが人間の奴隷となった仲間たちを解放する物語は『旧約聖書モーセ出エジプトを連想させる場面でした。

 

エイプのリーダーになったシーザーはカリスマ性を発揮して「エイプ同士で協力し、殺し合いをしてはならない」や「人間を傷つけてはならない」といったルールをエイプ達に伝えていきました。それは宗教というよりもエイプが集団で生活して平和に暮らすための掟のようなものであり、シーザーは宗教の開祖になろうと意図していたわけではないでしょう。

 

ところが、数世代の時(300年)が流れた今作ではシーザーの教えを受け継ぐ者としてオランウータン ラカが登場したり、シーザーの名前を受け継いで王国を作り上げたプロキシマスが現れたりと、シーザーは伝説となり、シーザーの教えはまるで宗教のように信仰されています。人類の歴史においても宗教ってこんな風に始まるのか、と考えさせられました。

まさか、赤ちゃんシーザーの部屋の小窓が300年後に宗教的シンボルになってるなんて誰が想像できましょう…笑

 自然信仰のイーグル族の滅亡

主人公のノアはイーグル(鷲)をトーテムとし、自然と共に生きる少数部族で生まれます。

 

個人的に日本の鷹匠の歴史に興味を持って調べていたので縁を感じてしまいました。

「鷲の卵は1つ残さなければならない」「絆の儀式」など、長老達の人生の経験が部族の掟となって語り継がれており、前半のノアは従順に掟に従う若者として描かれていました。

 

平和な日常が続いて行くのかと思いきや、強力な武器を持つプロキシマスの王国軍がやってきて一変。争いを好まないイーグル族の武器は石器、、圧倒的な力の差を前にして蹂躙されてしまいます。

 

強者が弱者を力で捩じ伏せてきた人間の戦争の歴史(コルテスとアステカ王国縄文人弥生人)を感じさせられる場面でした。

 プロキシマス王国とアイデンティティ

プロキシマスは力で他の部族を支配下として、シーザーを名乗り王としてエイプの王として君臨していました。まさに帝国主義

 

イーグル族は彼らの個性である鷲を捨てて王国のルールに従う道を選んでいました。人間の歴史においても侵略された部族の慣習や文化が滅びていく様子を想像できます。

王国化が進み、部族という概念が無くなったのが現在のわたしたちなのです。それゆえに部族の教えがない私たちは、個人は何者なのか、アイデンティティを見失う人が現れやすいのかもしれないなと気がつきました。

ノアの名前の由来は?

ノアといえば『旧約聖書』で神に選ばれて方舟を作り大洪水を生き延びた人物です。

プロキシマスの王国はかつて地球の支配者だった人間が遺した巨大な船を中心に作られています。巨大な船はノアの方舟を連想させられました。

 

後にエイプの王国に大量の海水が流れ込んだ際にノアがイーグル族を救うシーンがあります。「ノア」という名前は一族を洪水から救う伏線だったのかと気がつきました。

 

鷲が象徴するもの

父の残したサンイーグルに認められたノアは、一度は鷲をプロキシマスを倒し、一度は鷲を手放したイーグル族をリーダーとして再興させます。

鷲といえば、ギリシャ神話のゼウスは鷲に変身しますし、ローマ神話ユピテルのシンボルも鷲ですね。

日本では初代神武天皇も太陽神天照の末裔で光り輝くカラス(鷲ではありませんが)に導かれており、北欧神話オーディンは2匹のカラスを連れています。大空を自由に飛ぶ鳥は古来から特別な存在だったのですね。

アメリカ合衆国の国章にもなっている「鷲」は、強さ、勇気、遠眼、不死などの象徴として人間にとって特別な存在である事は確かです。そんな鷲を信頼し使いこなすエイプはこの惑星の覇者になる事を予感させているのでしょうか。