人類(ホモサピエンス)は20万年前にアフリカで生まれて、10万年前にアフリカを出てユーラシア大陸へ進出し世界に拡散したと言われています。(アフリカ単一起源説)
日本列島には4万年前にやってきたと考えられており、シベリア、東南アジア、朝鮮半島から移動して可能性があります。
今回はシベリア経由の北海道からきた人々にスポットを当てていきます。
目次
北海道にはいつから人類がいた?
北海道で最も古い石器群は「2万5千年前」(旧石器時代)の台形様(だいけいよう)石器群が見つかっています。
2万5千年前は更新世後半の最終氷期で海面は今より100m低く、ユーラシア大陸と北海道は陸続きの半島でした。人類はシベリアからやってきたマンモス、ヘラジカ、バイソンを追いかけて来たと考えられています。
最初の北海道民はシベリア人?
シベリアから来た人類に特徴的なのが細石刃(さいせきじん)と呼ばれる石器です。
細石刃とは大きさ5cmほどのカミソリ状の刃で、木や動物の骨の先端に差し込んで使う武器です。
細石刃が多く見られるのは、2万年前です。この頃は最終氷河期の中でも1番寒冷だった時期で、平均気温は今より7-8度低かったとされています。(北海道の2024年2月9日の気温ら-1度なので-10度…寒い)海水面は今より120m低下していました。
温暖な地域を求めて、あるいは動物を追いかけて、シベリアからやってきた集団が多くの細石刃をもたらしたのでしょう。細石刃石器群は1万2000年前まで続きます。
ちなみに、九州には1万5千年前に5千年ほど遅れて細石刀がやってきます。 細石刃カルチャーの最先端は北海道だったのです。
ちなみに、上はメソアメリカのアステカ文明のジャガーの戦士ですが、手にマカナという武器を持っています。細石刃にそっくりです。アメリカに人類が到達したのは1万4千年前と言われていますので、その頃から大事に使ってきたのでしょうか。
黒曜石の産地白滝「石こそ力」
旧石器時代の道具は石で作られていました。
使う石はどんな石でも良いわけではなく、黒曜石、頁岩(けつがん)、チャート、安山岩、サヌカイト、玉髄(ぎょくずい)、砂岩など、加工に適した石が選ばれていました。 現代人のわたしたちからみると全く見分けがつきません。
北海道で多く使われたのは、黒曜石と頁岩です。
黒曜石は遠軽町白滝、置戸町、十勝上士幌町三股、赤井川村などが知られています。特に大原産地であった白滝の周辺からは多くの旧石器時代の遺跡が発見されています。
寒冷な旧石器時代に米はありませんので、狩りめ獲物取れなければ飢え死にしますからね。石を制するものは動物を制する時代というわけです。
今でこそ人口1万8千人の遠軽町ですが、旧石器時時代は石の産地、人々の憧れの地だったというわけです。
白滝産の黒曜石は道南の遺跡や南サハリンのソコル遺跡でも見つかっており、現代でいう輸出産業になってたわけです。当時「所有」という概念があったかはわかりませんが。
旧石器時代の北海道民の遺伝子
さて、今から2万5千年前に北海道へやってきて、細石刃を広めたシベリア出身北海道民のDNAがとても気になります。
以前の記事でアイヌのDNAの中に含まれるY染色体ハプログループC2b(本州人には含まれない)は3世紀頃樺太からやってきてオホーツク文化を伝えた人々(ニヴフ)からもたらされたものではないかと書きました。
ひょっとすると、3世紀に彼らが北海道に来る前から既に北海道にはC2bが多く住んでいたのかもしれません。6000年前に本州の縄文人ハプログループDがやってきて婚活したところに3世紀になりニブフがやってきたという流れでしょうか。
参考文献
次回、北海道は縄文時代に突入する!!