古代史好きな28歳サラリーマンのブログ

古代史(特に縄文、弥生、古墳時代)が大好きです。

ディズニーで読み解く世界史① ウェールズの国旗とドラゴン

ディズニーで読み解く世界史シリーズ第一回目の今日はウォルトディズニーの作品『王様の剣』の話をしていきます。

 

 

 

王様の剣あらすじ

その昔、引き抜くことができれば王になれる、という伝説をもった、岩に突き刺さった剣がありました。国中の力自慢が挑戦しますが、誰も引き抜くことができません。ある日、ワートという少年が、魔法使いのマーリンと出会います。マーリンは、ワートのなかに潜む、王としての資質を見いだし、ワートに知恵を授けます。

 

魔法使いマーリンの由来はウェールズの神話

ブリタニア列王史』における赤竜と白竜の戦いの場面。15世紀頃の彩飾写本。

ウェールズには次のような神話があります。マーリンが地中から石を取り出すと、石の中から赤い竜と白い竜が出現して戦いを始めた。一時は劣勢と見えた赤い竜は、勢いを盛り返してなんとか白い竜を退かせた。驚いているヴォーティガン王に、マーリンは、赤い竜はブリトン人で白い竜はサクソン人だと説明した。さらに、「この争いはコーンウォールの猪が現れて白い竜を踏みつぶすまで終わらない」と予言した。彼の予言は、コーンウォールの猪ことアーサー王がサクソン人を破るという形で成就されることとなる。有名なアーサー王の伝説です。

 

アーサー王伝説の時代はいつか

アーサー王伝説のルーツは5〜6世紀以前にブリテン島に住んでいたケルト系文化を持った人々の神話と考えられています。

 

当時のブリテン島は大陸からやってきたローマ人と先住民であるケルト人が住んでいました。

ゲルマン民族の「大移動」によって本国ローマ帝国の衰退が始まると、ブリテン島のローマ軍が撤退し(410年)ゲルマン人がやって来るようになります。

ゲルマン民族との戦いでケルト人は島の西側へ追いやられていきます。ゲルマン民族ケルト人を古英語で「よそ者」を意味するウェールズ (Wales)wēalesと呼びました。

アーサー王伝説とはいつかゲルマン民族を倒し平和をもたらす救世主の出現を願ったケルト人の伝承なのです。

 

 

ウェールズの建国神話とドラゴンの国旗

ブリタニア列王史』で赤い竜をブリトン人として例えたようにウェールズの国旗にはレッドドラゴンが描かれています。ウェールズには赤い竜にまつわる次のような神話もあります。

その昔、大地ができた頃、地中には地震を起こし災厄を招く黒い竜がおり、それを水の神である赤い竜が倒し平和をもたらした。

アーサー王伝説が誕生する前からケルト人にとって赤い竜は特別な存在だったのでしょう。

 

キリスト教の影響で西洋世界におけるドラゴンは邪悪な存在とされますが、ウェールズでは「我々は赤い竜の化身である」と考えており、赤い竜は国や民族の象徴・化身となっているそうです。