菅原道真は全国の天神社で学問の神様として祀られています。一方で日本三代怨霊(菅原道真、平将門、崇徳天皇)の一角として語り継がれています。

『呪術廻戦』より
『呪術廻戦』では五条悟、乙骨憂太は菅原道真の子孫だと明かされました。平安時代に実在した人物である菅原道真が神として祀られ、怨霊として恐れられる理由を見ていきたいと思います。
菅原道真の祖先は日本神話の神?

菅原道真は平安時代初期の人物(845-903)です。朝廷の最高職である太政大臣(だじょうだいじん)に昇り詰めただけあってその家柄は古代からの由緒正しい家系です。

菅原氏の祖先は天照大神(あまてらすおおみかみ)の息子である天穂日(あめのほひ)であると言われています。

天穂日は「出雲国譲り神話」に登場する神です。天照大神(あまてらすおおみかみ)は天穂日を高天原から出雲国へ派遣します。天穂日の使命は出雲国を譲るように交渉する事でしたが天穂日は3年経っても帰ってきません。天穂日は出雲国の長である大国主を尊敬して出雲族に味方してしまったのです。

野見宿禰『バキ道』より
出雲の国譲りの後、天穂日は出雲大社の宮司で祭祀を主宰する出雲国造家(いずもこくそうけ)となったとされています。天穂日の子孫は相撲の神様である野見宿禰(のみのすくね)がおり、菅原氏も子孫であると名乗っています。
菅原道真の生涯

菅原家は菅家といって三代にわたって宮中の文章博士を勤めていました。菅原道真は特に59代宇多天皇に近侍して右大臣に昇進を果たします。

これを憎んだのが藤原時平(ふじわらのときひら)で、策謀により菅原道真を大宰府(福岡県)に権帥(ごんのそち)(大宰府の長官)として流罪にしてしまいます。
藤原時平は当時の天皇、醍醐天皇に「菅原道真は天皇を廃帝させるために陰謀を企てている」と伝え、菅原道真は無実の罪を着せられることに。 その後、時平の言葉を信じた醍醐天皇により、菅原道真は左遷され大宰府に送られてしまいます。

『呪術廻戦』より
己の昇進のためにライバルを退け、時には呪い合う平安時代呪術全盛の時代と言われる所以ですね。
菅原道真を祀る天神社と梅の花
菅原道真を神として祀る神社は天神社または天満宮と呼ばれます。

天満宮の神紋は「梅紋」である事が多いのですが、理由として菅原道真が太宰府に配流されて3年延喜三年(903)正月に詠った和歌があります。
「東風ふかば にほいよこせよ梅の花 あるじなしとて 春を忘るな」
京都御所の清涼殿を思い偲んで詠われたこの和歌は、菅原道真が天皇と梅花を偲ぶ気持ちが深く表れていますね。それゆえに天満宮には梅の花が植えられている事が多いのです。
西暦903年。左遷されてわずか2年後、道真公は大宰府にて死去します。
怨霊になった菅原道真

道真天拝山祈禱の図(小林永濯・画、明治時代)
天満宮では菅原道真を「天満大自在天神」や「大威徳大明王天神」として祀っています。これは菅原道真が死後怨霊となって様々な天災事変が起きたので、菅原道真の霊を慰めるため、天神として京都の北野天満宮に祀った事が始まりです。

『菅家御伝記』によれば、安楽寺を創建した905年に、創建者の味酒安行は、神となった道真より託宣をうけ、道真を天満大自在天神と号したとあります。その後清涼殿落雷事件が起り、京の人々は、北野の地に元来祀られていた火雷神(ほのいかづちのおおかみ)と、道真の怨霊を結び付けて考えたと記されています。

火雷神とは古来日本人が雨雷を自然神として祀ったもの(神解け)が、古事記神話では黄泉の国で伊弉諾(イザナギ)を追いかけた伊邪那美(イザナミ)の体から生じた雷神とされたものが、律令時代(奈良〜平安時代)に宮中に祀られたものでした。
落雷による死亡者の中に大宰府において道真公の監視役を務めていた藤原清貫や、落雷の3か月後に左遷を命じた醍醐天皇が崩御したことで「道真公の祟り」説は決定的となったようです。
菅原道真を祀る天満宮に牛がいる理由
北野天満宮には牛の像が多いのはなぜでしょうか。

『日蔵夢記(道賢上人冥途記)』では、怨霊神となった道真が、「火雷天神とは、わが眷属(けんぞく)の鬼神のことだ。自分は、三十三天に日本太政威徳天とよばれている」と話したと記しています。

日本太政威徳天とは密教の5明王の一人である大威徳明王を指していると思われます。大威徳明王は仏教における阿弥陀如来の化身とされ牛にのった姿で描かれます。
まとめ
・菅原道真の死後、清涼殿(天皇がいるところ)に雷が落ちたのは、菅原道真の呪いのせいであるとして恐れられ、怨霊として恐れられた
・菅原野道真の怨霊を慰めるために神として祀られ、元あった日本古来の雷の神や密教の神と習合した
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