上野で開催されているローマ展に行くことになりました。
世界史知識0だったので、ローマまでの歴史を勉強してみると、『旧約聖書』と日本の縄文時代が繋がってきたのでまとめてみます。
- 世界遺産三内丸山遺跡の謎
- 縄文時代にみられるストーンサークルの目的
- 寒冷化がもたらしたウル第三王朝の滅亡
- アブラハムがカナンを目指したのはいつか?
- 古代エジプトの滅亡
- 火山活動がもたらす文明の滅亡
- まとめ
世界遺産三内丸山遺跡の謎
1992年青森県青森市での発掘調査の結果、縄文時代の大規模集落跡「三内丸山遺跡」が発見されました。
三内丸山遺跡における大型柱跡の発見はこれまでの縄文時代の歴史を覆す発見と言われています。
それまで縄文時代(縄文土器を使用した時代)の日本人は少人数で生活し、食糧を求めて移動するという世界の旧石器時代と同じような生活スタイルだと思われていました。
三内丸山遺跡における大型柱跡の周囲の巨大な集落の発見から、「大人数かつ定住」している事がわかったのです。
これほど繁栄した集落ですが4200年前を境に、突如としてその形跡が無くなってしまっているのです。
なぜ三内丸山遺跡は滅亡したのでしょうか。
その理由は「地球寒冷化」です。
地球は8万年の氷河期と2万年の温暖期を交互に繰り返してきた事を前回の記事で紹介しました。
現在は1.5万年前から始まった温暖期で、向こう5000年は暖かい時期が続くと考えられています。
上は北海道博物館で開催された北の縄文展の展示です。左から氷河期が終わった15000年前からの縄文時代晩期の2400年前までを横軸に示しています。
赤くマークした年代に注目してください。氷河期が終わり温暖で湿潤な日本列島でしたが、4200年前に一時的な寒冷化に見舞われているのです。
三内丸山遺跡に定住していた人々は寒冷化により温暖な南の地域へ移住した事が推測されます。
縄文時代にみられるストーンサークルの目的
寒冷化の影響かこの頃の縄文遺跡ではストーンサークルが見られるようになります。
北の縄文展2023より
3500年前に作られた忍路環状列石(北海道)
ストーンサークルは太陽の運行を把握するために作られている事から、寒冷化を恐れた人々が太陽を信仰するために作ったものかもしれません。
寒冷化がもたらしたウル第三王朝の滅亡
世界を見渡すと寒冷化の影響を受けた文化は日本列島だけではなかった事がわかってきました。
ウルナンム治世下のジックラドWikipediaより
三内丸山遺跡は4300年前に地球の寒冷化・乾燥化で衰退しますが、ちょうどその時期にメソポタミア地方で遊牧民(アムル人)がウル第三王朝を滅ぼして古バビロニア王国を建国しているのです。
アムル人はメソポタミア地域で遊牧生活を営んでいた人々で、シュメール人が残したウル第三王朝の記録には次のように記載されています。
「マルトゥ(アムル人が信仰する神)の人々は野蛮で敬意がなく死者を埋葬する事も知らない」
と、完全に軽蔑した内容となっています。一方でウル第三王朝のシュメール人達はアムル人を傭兵として雇った事もかかれており、アムル人は軍事的な力を持っていたようです。
4200年前に地球規模で起こった寒冷化は遊牧民の暮らしを圧迫し、豊かなメソポタミア地域へ侵攻するきっかけとなったのではないでしょうか。
アムル人が建国した古バビロニア王国はハンムラビ法典が有名ですね。
アブラハムがカナンを目指したのはいつか?
ウル第三王朝の滅亡は『旧約聖書』に登場するユダヤ教の始祖であるアブラハムにも関係してきます。
アブラハムと父テラはウルに暮らしていましたが、ある日「カナンの地を目指しなさい」と告げる神の声を聞きます。
カナンを目指したタイミングは定かではありませんが、地球規模の寒冷化、ウル第三王朝が滅亡がきっかけになっていると考える人もいるようです。
古代エジプトの滅亡
ちなみに、ギザのピラミッドを作った古代エジプトが滅んだのもやはり4200年前で、大飢饉に見舞われた事が原因と考えられてるようです。
1971年に発見されたアンクティフィの碑文にはエジプト南部が壊滅的な飢饉に襲われたと残されています。
4200年前の寒冷化は地球全体の文明に影響を及ぼしていた事がわかります。
火山活動がもたらす文明の滅亡
時は流れて今から3500年前のエーゲ海に浮かぶ島、クレタ島沖のテラ島で火山噴火が発生しました。
クレタ島といえばギリシャ神話のミノタウロスの伝説が残る島です。
テラ島で起きた火山噴火は大津波や二酸化窒素を引き起こしクレタ文明に打撃を与えたと言われています。
火山噴火が直接的な原因かは不明ですが、3500年前クレタ文明はミケーネ文明もしくは海の民によって滅亡させられています。
同じく日本においても3500年前に新潟の妙高山が噴火しており、この時代は地球規模で火山活動が活発な時期だった事がわかります。
『旧約聖書』にはアブラハムの甥のロトが住んでた町、ソドムとゴモラに空から硫黄が降ってきた話があります。この頃の火山活動が関係してるんじゃないかという人もいるらしいです。
3500年前といえば小アジアに成立したヒッタイト王国が鉄の武器を駆使して、メソポタミアに侵入して古バビロニア王国を滅ぼした時期とも一致します。
3200年前にはギリシア人が鉄を持ってギリシアに南下、海の民がミケーネ帝国、ヒッタイト王国を滅ぼすなど中東はカオスな時代に突入していきます。
この時代からアッシリアによってオリエントが統一される紀元前8世紀までの400年間は文字の歴史が残っていないため、ギリシアの、暗黒時代と呼ばれるそうです。
火山噴火により空を覆った火山灰は地球表面の温度を下げて農作物の不作をもたらし、食糧を求めて戦乱の世が始まったように見えます。
まとめ
・4200年前寒冷化によって三内丸山遺跡は滅びた。
・4000年〜3500年前の寒冷化した時期の遺跡から環状列石がみつかっている。
・4300年前にウル第三王朝が滅亡している。
・旧約聖書のアブラハムがカナンを目指したきっかけはウル第三の滅亡か。
・4200年前に古代エジプト王国が滅亡している。
・3500年前の火山活動によって滅亡した文明。
地球規模の気候変動から世界史を横断的にみると法則がありそうですね。
1.5万年前に氷河期の終焉とともに、人類は定住生活を始めた事が三内丸山遺跡からわかり、最近では狩猟+定住の証拠となるトルコのギョテクリテペ遺跡(1.2万年前)も出てきて少しずつ人類の起源と痕跡が明らかになっているように思います。
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4200年前の寒冷化で人口が3分の1になった?!